2015/11/05

Vol.132(3) トピックス 「学校給食から発生する食品ロス」

メールマガジン「Nutrition News」 Vol.132
「学校給食から発生する食品ロス」
  食品ロスとは、食べられるにもかかわらず廃棄されている食品のことを言います。平成26年10月に取りまとめられた「今後の食品リサイクル制度のあり方について」(中央環境審議会意見具申)では、学校給食用調理施設を「食品廃棄物を継続的に発生させている主体の一つ」とし、食品ロス削減等の取組を実施するとともに、食品残さ(調理くずや食べ残しなど)再生利用の取組を推進する必要がある旨の提言がなされました。
  これを受けて環境省は、学校給食から発生する食品ロス削減(リデュース)や食品廃棄物リサイクルの取組状況などを把握するために、全国の市区町村を対象としてアンケート調査を実施し、平成27年4月、その結果を公表しました(回答率約80%)。

学校給食における食品ロスの現状

調査の結果、児童・生徒1人当たりの年間の食品廃棄物の発生量は、推計で約17.2kgであることが分かりました。食品廃棄物の種類別に見ると、食べ残しが7.1kg (約41%)と最も多く、次いで調理残さが5.6kg (約33%)となっています(図1)。

 
図1 児童・生徒1人当たりの年間の食品廃棄物発生量 
(平成25年度推計)
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環境省資料をもとに作成
 
 また、学校給食からの食品廃棄物のリサイクル率※1は約59%(平成25年度)で、リサイクル内容は肥料化が約40%と最も多く、次いで飼料化が約18%となっています。一方で、学校給食からの食品廃棄物の約38%は、リサイクルされずに焼却されています(図2)。
 
図2 処理方法の割合
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環境省資料をもとに作成
 
 学校給食からの食品廃棄物のリデュースに関する取組では「食べ残しの削減を目的とした調理方法の改善やメニューの工夫を行っている」と回答した市区町村が約7割ありました。また、リサイクルに関する取組では「学校給食からの食品廃棄物を利用して作られた飼料や肥料を学校関連の施設で使用している」、食育・環境教育に関する取組では「食べ残しの削減を目的とした食育・環境教育の取組を行っている」と回答した市区町村がそれぞれ最も多く見られました。
 
図3 リデュース・リサイクルの具体的な取組事例 vol132torikumijirei
 環境省資料をもとに作成
 
 なお、環境省では、学校給食から発生する廃棄物の3R※2の更なる促進を図るとともに、3Rの実施内容を食育・環境教育の教材として利用することを促進するためのモデル事業の実施を決めています。
 

食品ロスの削減に向けて

日本では、カロリーベース総合食料自給率が39%(平成26年度)と、食料の多くを輸入に頼っている一方で、年間500~800万トンもの食品が廃棄されていると言われています。これは、世界の食料援助量の390万トン(2011年、WFP発表)を大きく上回る量です。このような現状を踏まえると、食品ロス削減に向けた取組をより積極的に推進し、食品ロスの削減に向けた環境整備や個人の意識向上を図っていくことは、学校給食のみならず、今後の重要な課題であると言えるでしょう。
 
※1 リサイクル率(%)=再生利用(飼料化、肥料化等への仕向量)/食品廃棄物の処理量
※2 3R(スリーアール)は、Reduce(リデュース:廃棄物の発生抑制)、Reuse(リユース:再使用)、Recycle(リサイクル:再資源化)の頭文字をとったもの。3Rは、リデュース、リユース、リサイクルの順に取り組むことが求められている。
 

参考

学校給食から発生する食品ロス等の状況に関する調査結果について(お知らせ)(環境省)
http://www.env.go.jp/press/100941.html
 
もったいない!食品ロスについて考えてみませんか?(農林水産省)
http://syokuryo.jp/fan/action/disposal.html
 
知ってる?日本の食料事情(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/
 

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