2020/09/14

Vol.198 (3) トピックス 「ストレスによる抑うつを予防・解消するための5つのアプローチ」

メールマガジン「Nutrition News」 Vol.198
「ストレスによる抑うつを予防・解消するための5つのアプローチ」

 現代は「ストレス社会」とも言われています。私たちは、常に何かしらのストレスにさらされていると言っても過言ではありません。加えて、今回のコロナ禍は多くの人にとって大きなストレス要因となっていると考えられます。特に、テレワークやオンライン授業、オンライン会議、イベントのライブ配信など、“外出せずに対応可能”な生活様式が定着しつつある一方で、終息の見えない自粛生活にストレスを抱えている方は多いのではないでしょうか。

 専修大学スポーツ研究所の調査(オンライン授業が開始された5月に新入生2,409名に対する心身の健康状態についてのアンケート調査)によれば、学生の72.9%には抑うつ症状はみられなかったが、18.5%は抑うつ境界領域、 8.6%は抑うつ傾向ありであったと報告しており、新入生の約1/4が抑うつになり得る、またはすでに抑うつである可能性が示唆されています。

 抑うつの予防には、生活習慣(食事、運動など)の改善や認知行動療法などを用いたアプローチが効果的であり、また、予防的介入は抑うつの程度が軽いうちに行うことが重要であると言われています。そこで今回は、同研究所がホームページで公表している、認知行動療法にもとづいた“ストレスと上手に付き合うためのセルフマネジメント法”について紹介します。

ストレスが生じるプロセス

 ストレスは、それを引き起こすきっかけとなるできごと(刺激)があり、そのできごとへの自分の捉え方(認知)によって生じます。

          図 ストレスが生じるプロセス

          専修大学スポーツ研究所資料をもとに作成

 抑うつを予防、解消するためのポイントは、ストレスを知り、上手に付き合うことです。そして、抑うつを予防・解消するためのアプローチは、ストレスが生じるプロセスの各段階において行うことができます。

 

アプローチ① 起きてしまったストレス反応を鎮める

 ストレスが生じた状態(図の③)から、ストレスのない状態(図の⓪)に戻すためのアプローチ法で、呼吸法や睡眠、入浴などの他、音楽鑑賞やスポーツなどの趣味などが具体的な方法として挙げられます。

 

アプローチ② 自分の健康状態やストレス状態を確認する

 セルフモニタリングを行うことで、自分の心身の状態を確認することができます。これは、ストレスが生じるプロセスのすべて(図の⓪~③)に対するアプローチとも言えます。自分が置かれている現状をそのまま受け入れることで、リラックスにつながるという考え方です。

 なお、同研究所では、セルフモニタリングの手法として、身体感覚や感情をスキャンするように意識する「ボディスキャン」という概念を紹介しています。

 

※ボディスキャンの方法はこちらの動画をご覧ください

初心者向け https://youtu.be/jEEUv8xxPtk

ボディスキャン① https://youtu.be/pmE02-X4-Os

ボディスキャン② https://youtu.be/D34_OOdBuRY

 

アプローチ③ 身体感覚に気づく

 ストレスを引き起こすきっかけとなるできごと(図の①)、自分の捉え方(図の②)、その結果起こったストレス反応(図の③)のそれぞれについて、評価することなく丁寧に体験することで、今この瞬間に起きていることにはっきりと気づくことができます。これは「マインドフルネス」という心理学的な考え方に基づいたアプローチです。

 

アプローチ④ 捉え方を変える

 ストレスを引き起こすきっかけとなるできごとに対する自分の捉え方(図の②)を変えることでストレス反応(図の③)に結びつかないようにするアプローチです。これには、コラム法(認知再構築法)と言われる手法が有効です。

【参考】自動思考とコラム法

 物事の捉え方と密接に関わっているのが「自動思考」です。自動思考とは、とっさに頭に浮かぶ考えのことで、“認知のクセ”とも言えます。この自動思考に気づき、認知のバランスを取る方法として用いられるのが「コラム法」です。①実際にあった嫌なできごと ②その時の気分 ③自動思考(思い浮かんだ思考) ④根拠(自動思考を裏付ける事実) ⑤反証(自動思考と反対の事実) ⑥適応的思考(柔軟で現実的な新しい考え) ⑦気分の変化(新たな考えによる気分の変化)の7つのコラムについて具体的、客観的に書き出すことにより気持ちが整理され、対応策について考えることができると考えられています。

 

アプローチ⑤ 刺激を弱める、避ける

 ストレスを引き起こすきっかけとなるできごと(図の①)にアプローチすることで、ストレスを減らしたりなくしたりすることができます。具体的な行動としては、誰かに相談をしたり、自己主張をすることで解決を図ったり、そのできごとから逃げたりすることが挙げられます。

 

 なお、同研究所では、ストレスと上手に付き合うためのセルフマネジメント方法として、4つの「ヨガ」の動画を作成し、公表しています。大学生に限らず、外出自粛などによるストレスや運動不足の解消に「ヨガ」を取り入れてみるのも良いかもしれません。

 

※ヨガの動画はこちらからご覧ください

https://suisport.jp/system/prog/content.php?&c=3&article_idno=175

 

 

参考

大学生における運動・生活行動に関するアンケート調査(第二報)(専修大学スポーツ研究所)

https://suisport.jp/system/prog/content.php?&c=1&article_idno=173

 

 

 

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