2019/09/16

Vol.185 (3) トピックス 「”ジャパンスタイル”で残す食のレガシー」

メールマガジン「Nutrition News」 Vol.185
「“ジャパンスタイル”で残す食のレガシー」
 2020年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京2020)の開幕まで1年を切りました。各競技の代表選考やインフラの整備等も着々と進み、観戦チケットの抽選販売には申し込みが殺到するなど、既に盛り上がりの様相を呈している東京2020ですが、当メールマガジンをご覧の方の中には、大会で選手に提供される食事に関心をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、東京2020組織委員会が策定した「東京2020大会における飲食提供に係る基本戦略」(以下、飲食戦略)から、東京2020における選手への飲食提供の考え方についてご紹介します。

 東京2020では、基本コンセプトとして「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」の3つが掲げられており、大会における飲食提供もこれらのコンセプトを具現化するものとなっています。

「全員が自己ベスト」を食事から支える

 各選手がコンディションを良好に保ち、また競技において最高のパフォーマンスを発揮するために、栄養管理はとても重要な要素となります。そこで、飲食戦略では、試合を直前に控えた選手の食事へのニーズ等を把握し、スポーツ栄養の専門的知見を取り入れたメニューを作成することとしています。特に、「高たんぱく」「高糖質」「低脂肪」等、選手によって食事に対する要求事項は異なるため、それらにも対応できるメニューを構築し、必要な時間に必要な場所で十分な量を提供できるよう配慮されます。さらに、必要なエネルギーや栄養素をスムーズに摂ることができるよう、選手の間で流行している飲食スタイルなども可能な限り取り入れられます。
 競技に臨む選手の食事は、栄養面への配慮だけでなく、日頃食べ慣れている食事メニューであることも大切です。そのため、食事会場ではコーナーごとに世界各地の食事メニューが準備されるとともに、各コーナーの情報が選手や選手団スタッフに分かりやすく提供されるよう配慮されます。菜食主義等の食習慣や宗教上の食に配慮したメニューや、アレルギーに対応したメニューも取りそろえられます。

栄養ヘルプデスクの設置も

 提供されるメニューの栄養成分やアレルゲンを含む食材の情報は、選手のコンディションに関わる重要な情報です。そこで、これらの情報については、事前に各国や地域のオリンピック委員会等を通じて選手に提供されるとともに、食事会場においても各メニューに分かりやすく表示する他、ICT技術も活用して徹底した情報提供が行われます。さらに、選手村のメインダイニングには「栄養ヘルプデスク」が設置され、選手が専門職による栄養指導を受けられるようになるなど、専門的な見地からも選手をサポートします。

  •  パラリンピアンへの配慮

     障がいのある方にとって必要な配慮は、障がいの種類や程度によって様々です。飲食戦略では、パラリンピアンに対する配慮事項として、身体的制約に応じたサポート(設備的なサポート、人的なサポート)を事前に十分に検討するとともに、必要な食事メニューをスムーズに選択して移動できるよう、ICT技術も活用しながらパラリンピアンの負担軽減を目指すとしています。また、飲食スペースでは車いすが通りやすい座席間隔や移動スペースの確保や、テーブル・表示板の高さなどにも配慮されます。

     2018年9月に開催された第20回ダノン健康栄養フォーラムでは、「障がい者のスポーツ栄養」をテーマに、東京2020組織委員会の飲食検討委員を務められていた鈴木志保子先生(神奈川県立保健福祉大学教授)、田口亜希氏(パラリンピアン)による対談が行われました(対談の内容はこちら)。そこでは、選手村の食堂で提供される食事の在り方について、日本のスポーツ栄養士によって“ジャパンスタイル”を確立していきたいという思いも語られました。選手のニーズに沿った食事メニューやきめ細かなサービスを提供する“ジャパンスタイル”は、きっとオリンピック・パラリンピックのレガシーとなることでしょう。

 

詳細は下記をご参照下さい。
東京2020大会における飲食提供に係る基本戦略について(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)

https://tokyo2020.org/jp/games/food/strategy/

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