メールマガジン「Nutrition News」 Vol.252 2024年11月1日発行
「新型コロナが体重や運動日数にも影響?3年ぶりに公表された国民健康・栄養調査結果」
令和6年8月28日、厚生労働省は令和4年11~12月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果を公表しました。令和2年、令和3年は新型コロナウイルス感染症の影響により中止となったため、調査が行われたのは3年ぶりとなります。
今回の調査では、世帯の等価所得(※)と生活習慣等に関する状況、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による生活習慣等の変化の状況などについても調査が行われました。
※等価所得:世帯の所得を世帯員数の平方根で割って調整したもの
世帯の所得と生活習慣
世帯の等価所得を「200 万円未満」「200 万円以上 400 万円未満」「400 万円以上 600 万円未満」「600 万円以上」の4つの群に分け、世帯員の生活習慣等の状況を比較したところ、野菜の摂取量および習慣的な喫煙について、男女ともに有意な関連が見られました。
●野菜摂取量の平均値
600万円以上の世帯員と比較して、200万円未満の世帯員で有意に少ない
●習慣的に喫煙している者の割合
600万円以上の世帯員と比較して、200 万円未満の世帯員で有意に高い
(男性は200 万円以上400 万円未満の世帯員でも有意に高い)
経済状態と健康に関わる生活習慣の関係という問題を示すものと思われます。
なお、等価所得600 万円以上の世帯員との比較において有意差のあった項目とその状況を表1に示しています。
表1 等価所得600万円以上の世帯員と比較して有意差があった項目
※赤字:600万円以上の世帯員と比較した場合の有意差の状況
令和4年国民健康・栄養調査結果(厚生労働省)をもとに作成
新型コロナウイルス感染拡大の影響による体重及び生活習慣の変化
新型コロナウイルスの感染拡大によって体重や生活習慣に変化があったかどうかを調べた項目では、体重や1週間あたりの運動日数などに影響が出ていることが示唆されました。
●体重
「増えた」と回答した割合は、男性13.2%、女性16.7%、「減った」と回答した割合は、男性7.4%、女性8.1%
●1週間当たりの運動日数
「増えた」と回答した割合は、男性5.0%、女性5.0%、「減った」と回答した割合は、男性で12.7%、女性で13.8%
表2 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による体重・生活習慣の変化(20歳以上)
令和4年国民健康・栄養調査結果(厚生労働省)をもとに作成
身体・栄養摂取・生活習慣の状況は悪化傾向?
令和元年の調査から3年ぶりに把握された国民の身体状況、栄養摂取状況、生活習慣の状況には、一部の項目で悪化の傾向も見られました。
●身体状況
男性の肥満者の割合は31.7%であり、直近10年間で有意に増加
●栄養・食生活に関する状況
野菜摂取量の平均値は270.3gであり、直近10年間で男女とも有意に減少
●身体活動・運動に関する状況
歩数の平均値は男性で6,465歩、女性で5,820歩であり、直近10年間で男女とも有意に減少
※いずれも20歳以上
詳細は下記をご参照下さい。
令和4年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省)