2024/10/01

vol.251 (2) 2022年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告「プレバイオティクスおよびプロバイオティクスの健康効果におけるマイクロRNAの役割」

メールマガジン「Nutrition News」  Vol.251 2024年10月1日発行

「プレバイオティクスおよびプロバイオティクスの健康効果におけるマイクロRNAの役割」

北海道大学大学院 農学研究院
逢坂 文那

【要旨】

申請者はこれまでに無菌(GF)マウスと通常(SPF)マウスの比較解析により、腸内細菌叢の存在が、大腸の粘膜固有層白血球(lamina propria leukocyte、LPL)におけるmicroRNA(miRNA)-200 ファミリーの発現を増加させ、その標的遺伝子であるBcl11bEts1およびZeb1 のmRNA 発現を減少させることを観察した1)。またこれらの遺伝子は、腸管免疫の恒常性維持に重要な働きを担うサイトカインであるインターロイキン2(interleukine-2、IL-2)の転写因子をコードする遺伝子であり、実際に腸内細菌叢の存在はIL-2 産⽣も減少させた1)。ところで、プレバイオティクスおよびプロバイオティクスによる腸内細菌叢を介した免疫調節機能が報告されているが、このことにmiRNA が関与することはほとんど知られていない。本研究では、難消化性オリゴ糖の摂取およびマウスの主要な腸内ビフィズス菌であるBifidobacterium pseudolongumの投与がマウスの大腸LPL におけるmiR-200 ファミリーの発現を増加させることを明らかにした2)。これらのことは、腸内細菌叢のうち、ビフィズス菌が大腸LPL におけるmiR-200 ファミリーの発現を増加させる結果、腸管粘膜免疫の調節の一端を担うことを示唆している。

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