メールマガジン「Nutrition News」 Vol.250 2024年9月2日発行
「高齢2型糖尿病患者におけるプロバイオティクスのメタボロームを介したサルコペニア予防効果の解明」
京都府立医科大学大学院 医学研究科 内分泌・代謝内科学
中島 華子
要旨
本研究では、日本人2型糖尿病患者の発酵食品を含む食事内容による血清中代謝産物プロファイルの変化、それがサルコペニアへ与える影響についてメタボローム解析を用いて検討した。味噌摂取に伴って血中アスパラギン酸・リンゴ酸が増加したが、アスパラギン酸とサルコペニアの存在や低筋肉量との関連も認めたことから、発酵食品関連メタボライトとしての一面のみならず、サルコペニアバイオマーカーとしての一面を持つことが示唆された。また、サルコペニアや低筋肉量には他の代謝メタボライトとも関連することが明らかになり、我々にとって重要課題であるサルコペニアの予防や早期発見のためには、発酵食品関連メタボライトであるアスパラギン酸を含む、各種メタボライトの代謝プロファイルが有用なマーカーであると考えられ、介入のための新しいターゲットとなる可能性がある。今後も、サルコペニア予防を目的として、各栄養素とメタボライトとの関連やその代謝吸収動態の解明や、新規プロバイオティクスとしての代謝産物の可能性も含めて更に検討していきたい。