メールマガジン「Nutrition News」 Vol.239
2021年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
認知機能に対する朝食の重要性とその作用機序解明に向けたアプローチ;fMRI研究
立命館大学 スポーツ健康科学部
現所属:早稲田大学 スポーツ科学学術院
2021年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
認知機能に対する朝食の重要性とその作用機序解明に向けたアプローチ;fMRI研究
立命館大学 スポーツ健康科学部
現所属:早稲田大学 スポーツ科学学術院
塚本 敏人 先生
要旨
朝食欠食および食後高血糖を惹起する高グリセミック指数(HGI)の朝食摂取は、認知機能や脳循環機能に対して負の作用をもたらす。本研究では、機能的磁気共鳴機能画像法(fMRI)を用いてNeurovascular coupling(NVC)機能を測定することで、朝食欠食および HGI朝食が認知機能に与える作用機序を明らかにすることを目的とした。加えて、朝食欠食およびHGI朝食が昼食時にもたらす2nd meal effect(代謝不全)が、昼食後の認知機能 にどのような影響を与えるのか明らかにすることも目的とした。若年健常男性18名を対象に、HGI朝食摂取条件、朝食欠食条件、Low-GI(LGI)朝食摂取条件の3条件を実施した。認知機能は、短期記憶と実行機能を評価した。NVCは、3.0TのMRI 装置を使用し、イベント型にて認知課題に対するBOLD効果を評価した。その結果、認知機能は低下したものの BOLD 効果に有意な変化はみられなかった。昼食後に関して、朝食欠食条件では2nd meal effectにより昼食後高血糖が惹起され、実行機能が低下した。また、HGI朝食摂取条件では2nd meal effectがみられなかったものの、昼食後の実行機能が低下した。本研究により、朝食欠食およびHGIの朝食を摂取してしまうと、午前中だけでなく午後の認知機能にも悪影響を与えてしまうことが明らかとなった。