「【セミナーレポート】健康二次被害防止のために、今私ができること」
2022年6月7日、新型コロナウイルスによる健康二次被害防止のための普及啓発を行っている「健康二次被害防止コンソーシアム(以下、コンソーシアム)」が、会員向けの特別セミナー「健康二次被害防止のために、今私ができること –STAY ACTIVE, STAY HEALTHY アクティブに、健康に–」をオンラインで開催しました。約180名が参加した今回のセミナーでは、自治体や企業などによる活動事例報告のほか、医師や専門家による情報提供、オリンピックメダリストによるパネルディスカッションが行われました。
今回は、この特別セミナーの様子をピックアップしてご紹介します。
健康二次被害防止の活動事例~岩手県金ケ崎町~
岩手県金ケ崎町では、新型コロナ流行当初から、極端な自粛による健康二次被害の恐ろしさについて認識し、次のような施策を講じたといいます。
- コンソーシアムが作成した啓発リーフレットの全戸配布、出前講座での再周知
- 町長メッセージで“三密”の回避等とあわせて健康二次被害についての具体的なエビデンスを発信
- 高齢者の通いの場の運営への資金援助を継続
- 公民館等にスマートテレビとWi-Fiスポットを設置、コロナ拡大時にもYouTube等を使用して介護予防教室を行なえるような環境整備
これまでは、高齢者がスマートフォンを使用するのは困難という前提での施策でしたが、今回のようなパンデミック状況下では高齢者にも積極的にスマートフォンを使用したコミュニケーションをとってもらうことが重要であると考え、今後は高齢者のスマートフォンリテラシーの向上に力を入れたいとのことです。
啓発リーフレット「コロナフレイル予防のた・ち・つ・て・と」
たった24時間の不活動がインスリン抵抗性を引き起こす
順天堂大学教授の田村好史先生からは、健康二次被害に関する最新のエビデンスが共有されました。
田村先生は、運動が体に良いことは広く認識されている一方で、運動しないことが体に悪いことはあまり認識されていないと指摘し、コロナ禍で失われた生活活動を取り戻すことの重要性を訴えました。
糖尿病の患者では食後の高血糖をきたしますが、30分に1回、3分間歩くだけでも血糖値の低下が見られることが明らかになってきました。また、マウスによる実験で、たった1日(24時間)でも“動かない”ということが筋肉へのジアシルグリセロールの蓄積を介してインスリン抵抗性を引き起こすことがわかってきました。インスリンには筋肉を太くする作用もあることから、インスリン抵抗性によって将来的にサルコペニアやフレイルにつながることも考えられます。
不活動への対策の第一歩は、活動量を把握することです。「〇分動く」というように時間で指導するよりも、「8,000歩」というように歩数で指導をした方が歩数も増加し、血糖値も低下したというエビデンスもあることから、活動量計を利用しながら“ちょこちょこ動く”を実践する重要性が強調されました。
つながりを持ってより長く元気に活躍できる社会へ
コンソーシアムの代表発起人である筑波大学教授の久野譜也先生は、新型コロナによる健康二次被害を予防する活動について「“誰もがつながりを持って、より長く元気に活躍できる社会の実現”に発展させていくべき」と述べられました。今、私たちには、感染拡大防止や健康二次被害防止のための取り組みの継続に加えて、つながりのある明るい未来を意識した“ポジティブな姿勢”も求められているのかもしれません。
※セミナーの様子は健康二次被害防止コンソーシアム公式YouTubeでも公開されています。詳しくは、こちらをご覧ください。