「新型コロナウイルスが引き起こす”健康二次被害”とは?」
新型コロナウイルスの世界的な流行は、私たちの日常に様々な変化をもたらしました。中でも最も大きな変化として挙げられるのは、不要不急の外出自粛が求められ、家で過ごす時間が多くなったことでしょう。在宅勤務やオンライン会議が一般的になり、オフィスを縮小する企業も増加しました。また、様々なイベントもオンラインでの開催が定着してきました。
外出を自粛するという一人一人の意識と行動は、感染拡大防止に大きく貢献するものです。しかし、一方で外出の機会が少なくなったことが新たな健康問題(健康二次被害)を引き起こしていることも指摘されています。
身体活動量低下や、人との関わりの減少が引き起こす”健康二次被害”
外出自粛の弊害の1つが「運動不足」です。日本の都市部在住の高齢者を対象にした調査では、新型コロナウイルスの流行前(2020年1月)に比べて、最初の緊急事態宣言下(2020年4月)では身体活動量が約3割減少していたという結果が出ています。
「いきすぎたステイホームが生活習慣病をつくる」(健康二次被害防止コンソーシアム)より
健康な高齢者の場合、あまり動かない状態が2週間続くと脚の筋肉量が3.7%減少することが報告されています。60~80歳代の日本人では1年間に平均約1%ずつ脚の筋肉量が減ると言われていることを考慮すると、2週間で約3.7年分相当の筋肉が失われている可能性があり、それによって要介護等のリスクが高まることが懸念されます。
また、活動量の低下は、肥満や高血糖、高血圧、脂質異常などにつながりやすく、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクを高めます。
「いきすぎたステイホームが生活習慣病をつくる」(健康二次被害防止コンソーシアム)より
外出を自粛する生活は、人との交流などを含めた社会参加の機会も減少させました。人との関わりが減ると、知らず知らずのうちにストレスや不安が増大し、免疫機能や睡眠の質の低下にもつながります。また、社会参加が少ないと、認知症やうつなどのリスクが高まることも報告されています。
健康二次被害防止のための4つの対策
対策1:適度な運動
適度な運動は、免疫機能を高めることが知られています。また、運動習慣がある人では感染リスクが低く、万一感染した場合にも死亡リスクが低いという報告もあります。歩行などの有酸素運動と筋力トレーニングをあわせた適度な運動を心がけることが大切です。
対策2:バランスの良い食事
食生活の乱れは、肥満や免疫機能の低下にもつながります。1日3回のバランスの良い食事の重要性が改めて問われると言えるでしょう。
対策3:質のよい睡眠
睡眠不足も、免疫機能に大きく関係します。質のよい睡眠をとるため、一定の時間に起き、日中は日光を浴びることや適度な運動を心がけるなど、生活リズムを整えることが大切です。
対策4:人との関わり
感染予防対策をした上で、人との関わりや社会参加の機会を持つことが大切です。外に出るのが心配な時には、ビデオ通話やSNS、電話などを活用するのも良いでしょう。
コロナも健康二次被害も予防しよう
“STAY HOME”に代表される、新型コロナウイルスに感染しない・させないための行動は今の私たちにとってとても重要な課題ですが、その行動によって健康を害することもあってはならないことです。マスクの着用や手洗い・うがい、3密の回避など、基本的な感染対策の徹底とともに、健康二次被害防止対策(“STAY ACTIVE”“STAY HEALTHY”)も心がけ、総合的な健康維持を目指したいものです。
参考
健康二次被害防止コンソーシアム(新型コロナウイルスによる健康二次被害防止啓発・公式サイト)