「国を挙げて推進される食品ロス削減に向けた取り組み」
令和3年4月、農林水産省と環境省が平成30年度の食品ロス量(推計値)を公表しました。それによると、食品ロス量は前年度より12万トン減少し、600万トンとなりました。このうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は324万トン(4万トン減少)、家庭から発生する家庭系食品ロス量は276万トン(8万トン減少)でした。食品ロス量、事業系食品ロス量は、推計を開始した平成24年度以降最も少なくなっています。
農林水産省HPより
食品ロスは、「持続可能な開発目標(SDGs)」のターゲットの1つとして削減目標が定められており、国においても様々な取り組みが進められています。
「てまえどり」の呼びかけ
消費者庁では、農林水産省、環境省、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会との連携のもと、小売店が消費者に対し、商品棚の手前にある商品を選ぶ「てまえどり」を呼びかける取り組みを推進しています。購入してすぐに食べる場合には、商品棚の手前にある商品などを積極的に選ぶことで、販売期限の超過による廃棄を減らす効果が期待されます。
「てまえどり」ポスター
「おいしいめやす」普及啓発キャンペーン
消費者庁では、おいしく食べることができる期間を示す「賞味期限」の愛称を決めるコンテストを行い、「おいしいめやす」という愛称を採用しました。小売店において、「おいしいめやす」の画像デザインの店舗への掲示や、レジ画面への表示を行うことで、消費者に賞味期限の意味の正しい理解を促す取り組みです。
「おいしいめやす」店舗掲示用画像デザイン
飲食店での食べ残し持ち帰り「mottECO(もってこ)」の普及
「mottECO」とは、環境省が開催したコンテストのネーミングの部門で大賞に輝いたフレーズで、「もっとエコ」「持って帰ろう」という2つのメッセージが込められています。食べ残しの持ち帰り文化が広まることで、飲食店における食品ロスの削減につながることが期待されています。
「mottECO」のロゴマーク
また、企業においても、食品の包装資材の改良による賞味期限延長の実現、売り切れる見込みのない安全な食品のフードバンクへの寄付など、食品ロス削減のための取り組みが積極的に行われています。
食品ロス削減に向けて
内閣府が実施した「食生活に関する世論調査(令和2年度)」によると、家庭で食品ロスを発生させないために工夫していることについて、「食べ残しが出ないように心がけて食事している(62.8%)」、「買ってから日が経っていても、自身の判断で食べている(51.0%)」、「食材を捨てることがないよう、調理の仕方や献立を工夫している(49.3%)」などが多く挙げられています。一方で、日常の買い物で期限表示を意識している人に食品の購入の仕方を尋ねた項目では、「期限が短くても、商品棚の手前から購入している」割合が12.7%なのに対し、「商品棚の奥から購入している」割合は68.9%と高くなっています。
冒頭で紹介したように、食品ロス量は減少傾向にあります。しかし、今も日本人一人一日あたり茶碗一杯分(約130g)の“まだ食べられる食品”が捨てられているのが現状です。食品ロスのさらなる削減に向け、国や自治体、食品関連事業者、そして消費者の一人一人が意識を持って行動することが求められています。
参考
詳細は下記をご参照下さい。
食品ロス量(平成30年度推計値)の公表(農林水産省)
https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/kankyoi/210427.html
食生活に関する世論調査(内閣府)
https://survey.gov-online.go.jp/r02/r02-shokuseikatsu/index.html
[食品ロス削減]食べもののムダをなくそうプロジェクト(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/
食品ロスポータルサイト 食べ物を捨てない社会へ(環境省)
https://www.env.go.jp/recycle/foodloss/index.html