2021/06/14

Vol.210 (2) 2019年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告 「小児の将来的健康評価予測モデルの構築のための食事の質と社会的規定要因に関する 疫学研究」

メールマガジン「Nutrition News」 Vol.210
2019年度ダノン学術研究助成金受贈者による研究報告
小児の将来的健康評価予測モデルの構築のための食事の質と社会的規定要因に関する疫学研究
東北大学大学院 医学系研究科 東北メディカル・バンク機構  

佐藤 ゆき 先生

要旨

 東北地方から九州地方の公立小学校9校に在籍する1-6年生4,263名と保護者を対象とした食生活調査を行い、うち調査票への記入不備を除外した学童3,240名分の調査データを本研究で用いた。学童の食事記録からは朝食10,742件、夕食11,754件、間食4,319件の食品名および料理名が得られ、13項目の食品カテゴリーで出現頻度の算出とスコア化を行った。スコア化には非累積点数化を用い、食品群別摂取バランスの全体を評価した。解析結果、学童の食する食品群の種類と特徴としては主食となる穀類は朝食と夕食ともに出現頻度が最も高かった。夕食と比べて朝食で出現数が多い食品群は乳類、卵類、果物類、朝食夕食と共通して出現率が全体の50%以上の食品群は穀類の他に野菜類、嗜好性飲料であった。食品群数の分布状況から、朝食時は合計4食品群、夕食時は合計5食品群を食する子どもが最も多かった。食品群数の関連要因として朝食には8 要因、夕食には6要因が抽出され、要因の詳細分析をおこなったところ食費や収入源など家庭経済の要素は限定的要因であり、保護者の食経験や食習慣、関心度など保護者の食へのかかわりが基盤的要因として大きいことが明らかとなった。

 

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