メールマガジン「Nutrition News」 Vol.130
「食育の現状と課題を考える-食育に関する意識調査報告書より-」
「食育の現状と課題を考える-食育に関する意識調査報告書より-」
平成27年5月、内閣府食育推進室が、食育に関する意識調査報告書を公表しました。食育に関する意識調査は、食育に対する国民の意識を把握し、今後の食育推進施策の参考とするために実施されているものです。全国の20歳以上の3,000人を対象に、「食育への関心」「食生活・生活習慣」「食品の選択等」「家族等との食事」について調べられています(有効回収数:1,824人)。
今回は、このうち「食生活・生活習慣」についての調査結果を中心に取りあげるとともに、食育の現状と課題について考えてみたいと思います。
今回は、このうち「食生活・生活習慣」についての調査結果を中心に取りあげるとともに、食育の現状と課題について考えてみたいと思います。
68.6%が自分の食生活を「良い」と評価
現在の食生活をどう思うかについての回答は、『良い』とする人の割合が68.6%(「大変良い」14.1%+「良い」54.5%)でした。性・年齢別では『良い』とする人の割合が高かったのは、男性の70歳以上、女性の70歳以上で、『問題がある』とする人(「少し問題がある」「問題が多い」と回答した人の合計)の割合が高かったのは、男性の20代、30代、女性の30代、40代でした。
朝食を食べない理由のトップは「食欲がない」
ふだん、朝食を「ほとんど毎日食べる」と答えた人の割合は85.8%でした。また、「週に4~5日食べる」「週に2~3日食べる」「ほとんど食べない」と答えた人が朝食を欠食する要因は、「朝は食欲がないこと」が42.1%と最も多く、次いで「朝食を食べなくても問題がないこと」(34.7%)、「早く起きられないこと」(30.1%)となりました(図1)。
図1 朝食の欠食に影響を与えていること(複数回答)
なお、「週に4~5日食べる」「週に2~3日食べる」「ほとんど食べない」と答えた人のうち、朝食を食べる回数を『増やしたいと思う』とする人の割合は58.7%(「増やしたいと思うし、出来ると思う」23.9%+「増やしたいと思うが、出来ないと思う」34.7%)でした。
主食・主菜・副菜をそろえて食べる割合は67.8%
主食・主菜・副菜をそろえて食べることが1日に2回以上あるのは週に何日かについて、「ほぼ毎日」と答えた人の割合が67.8%、「週に4~5日」が13.0%、「週に2~3日」が13.2%、「ほとんどない」が5.9%という結果となりました。性別に見ると、「週に2~3日」「ほとんどない」と答えた割合は、男性で高くなっています。
「週に4~5日食べる」「週に2~3日食べる」「ほとんどない」と答えた人が、主食・主菜・副菜をそろえて食べることができない要因は、「時間の余裕がないこと」(49.4%)、「手間が煩わしいこと」(42.9%)と答えた人の割合が高く、次いで「量が多くなること」(16.2%)、「そろえる必要を感じないこと」(13.7%)の順となっています(図2)。
「週に4~5日食べる」「週に2~3日食べる」「ほとんどない」と答えた人が、主食・主菜・副菜をそろえて食べることができない要因は、「時間の余裕がないこと」(49.4%)、「手間が煩わしいこと」(42.9%)と答えた人の割合が高く、次いで「量が多くなること」(16.2%)、「そろえる必要を感じないこと」(13.7%)の順となっています(図2)。
図2 主食・主菜・副菜をそろえて食べることができないことに
影響を与えている要因(複数回答)
影響を与えている要因(複数回答)
食育に関する意識調査報告書をもとに作成
食費を抑えたいのは女性、男性はあまり意識していない
食費にお金を掛けることについてどう思うかについては、「お金を掛けることは惜しまない」と答えた人の割合が30.2%、「お金を掛けたいが、ゆとりがない」が29.1%、「食費は抑えたい」が18.1%、「あまり意識していない」が22.0%となっています。性別に見ると、「食費は抑えたい」と答えた人の割合は女性で高く、「あまり意識していない」と答えた人の割合は男性で高くなっています。
食育の現状と課題の考察
これらの調査結果から、多くの人が「朝食を毎日食べる」「主食・主菜・副菜をそろえて食べる」を習慣にしており、食生活についての自己評価も良いことが分かります。一方で、朝食を食べる頻度や主食・主菜・副菜をそろえて食べる頻度が少なく、食生活について「問題がある」と考えるのは、若い世代に多いようです。
朝食を食べないことがある人の約半数が「朝食を食べる回数を増やしたい」と考えていること、また、主食・主菜・副菜をそろえられない要因として「時間の余裕がない」が最も多いこと、「食費にお金を掛けたいが、ゆとりがない」「食費を抑えたい」と考える人が多いことなどからも、良好な食生活の実践を妨げる様々な要因があるとも考えられます。時間や手間、費用をかけずにバランス良く食べられる工夫など、管理栄養士・栄養士などが専門性を活かした情報提供を行っていくことも、これからの食育推進の1つの鍵となるかもしれません。
注 結果数値(%)は表章単位を四捨五入してあるため、内訳の合計が計に一致しないことがあります。