メールマガジン「Nutrition News」 Vol.119
第16回ダノン健康栄養フォーラムより
食事の質の向上に貢献する乳製品に関する最新のエビデンス
Scientific Strategy Public Health Team Leader,
R&D Dairy-Yogurt & Probiotic categories program, Danone Nutricia Research
Isabelle Seksek
第16回ダノン健康栄養フォーラムより
食事の質の向上に貢献する乳製品に関する最新のエビデンス
Scientific Strategy Public Health Team Leader,
R&D Dairy-Yogurt & Probiotic categories program, Danone Nutricia Research
Isabelle Seksek
日本では、近年メタボリックシンドロームが大きなトピックになっています。ヨーロッパの人間としては、日本人が体重に問題を抱えているというのは驚きです。2012年の国民健康栄養調査によると、日本の男性の約50%、女性の約20%がメタボリックシンドロームのリスク下にあります。しかし、過去10年間、肥満者(BM≧25)の割合は、ほぼ横ばいで推移しています。また、糖尿病の疑いのある人の割合は、1997年以来、初めて減少しました。状況は良くなったのでしょうか?もちろん答えは「NO」です。健康日本21(第2次)では、メタボリックシンドロームのリスク者の割合を25%削減することだけでなく、栄養・食事関連指標についてもさらに改善することが求められています。食事は健康維持の重要な要素です。みなさんが栄養士として果たすべき役割は大変大きなものです。
ヨーグルト摂取に関する疫学研究―アメリカとフランスの事例―
最近の疫学研究で、ヨーグルトの摂取量が体重コントロールや食事の質に貢献していることを示唆する結果が得られています。
Dr. Paul Jacquesは、成人における乳製品の摂取と体重・腹囲の相関を検証する研究を行いました。その結果、高い頻度(週3回以上)でヨーグルトを摂取している人は、そうでない人と比べて体重増加が50%抑制されました。また、腹囲増加は15%減少傾向にありました。その他のカテゴリーの乳製品においては、このような傾向が見られなかったことも注目すべき点です。この結果は、昨年、International Journal of Obesityに発表されています。
同じような調査は、フランスでも行われています。フランス人は乳製品を多く摂取します。そこで、乳製品の摂取頻度によって、低いグループ(0~3個/週)、中間のグループ(3~6個/週)、高いグループ(6個以上/週)に分けました。結果、ヨーグルト摂取頻度が高いグループでは、低いグループに比べて、乳製品の摂取量が75%、くだものの摂取量が55%、野菜の摂取量が20%多いことが分かりました。タンパク質や食物繊維の摂取量も、ヨーグルト摂取頻度の低いグループに比べて多いという結果が得られました。ヨーグルトの摂取量が多い人は、そうでない人に比べてより健康的な食生活をしていることが、この調査によって分かってきたのです。
Dr. Paul Jacquesは、成人における乳製品の摂取と体重・腹囲の相関を検証する研究を行いました。その結果、高い頻度(週3回以上)でヨーグルトを摂取している人は、そうでない人と比べて体重増加が50%抑制されました。また、腹囲増加は15%減少傾向にありました。その他のカテゴリーの乳製品においては、このような傾向が見られなかったことも注目すべき点です。この結果は、昨年、International Journal of Obesityに発表されています。
同じような調査は、フランスでも行われています。フランス人は乳製品を多く摂取します。そこで、乳製品の摂取頻度によって、低いグループ(0~3個/週)、中間のグループ(3~6個/週)、高いグループ(6個以上/週)に分けました。結果、ヨーグルト摂取頻度が高いグループでは、低いグループに比べて、乳製品の摂取量が75%、くだものの摂取量が55%、野菜の摂取量が20%多いことが分かりました。タンパク質や食物繊維の摂取量も、ヨーグルト摂取頻度の低いグループに比べて多いという結果が得られました。ヨーグルトの摂取量が多い人は、そうでない人に比べてより健康的な食生活をしていることが、この調査によって分かってきたのです。
ヨーグルト摂取と食事の質
「健康な食事」とは、様々な種類の食べ物、飲み物を含んだ食事であると考えます。私たちは、食事の質を測るために、食品および栄養素を数値化した指標(DQI:Diet Quality Index)を使っています。現在、世界中に40以上のDQIがあります。その中で、PANDIETというDQIはダノン社も参加して開発しました。栄養素をベースにした指標のため、食品の栄養素がわかれば簡単に測定することができ、どの国でも使いやすいというメリットがあります。PANDIETスコアが高いほど、食事で摂取している栄養が適切ということが言えます。フランスの調査チームがPANDIETをフランスおよびアメリカの食事に当てはめてみたところ、PANDIETスコアと乳製品の摂取量が相関していることが示されました。
ヨーグルトの栄養素密度
食事の質と並んで重要なのは栄養素密度です。いくつかの考え方がありますが、基本的に栄養素密度は、エネルギーの総摂取量とその栄養素の持つ密度を比較したものです。健康な食生活においては、たんぱく質や食物繊維、ビタミン類、カルシウム、カリウム、マグネシウムをより多く摂取し、飽和脂肪、糖、塩分などの摂取を制限することが推奨されます。
アメリカでは、栄養素密度について、NRF(Nutrient Rich Food)という指標を使っています。NRF指標において、牛乳やヨーグルトは最も栄養素密度が高い食品とされています。 ヨーグルトは非常に栄養素密度が高いことから健康に良いイメージがあります。それは必要な栄養素が多く含まれているからです。たんぱく質、カルシウム、リン、ビタミンなどの摂取源として重要で、生体の利用率が高いという特徴もあります。また、ヨーグルトは乳糖不耐症の人にとって負担が少ない食品でもあります。
アメリカでは、栄養素密度について、NRF(Nutrient Rich Food)という指標を使っています。NRF指標において、牛乳やヨーグルトは最も栄養素密度が高い食品とされています。 ヨーグルトは非常に栄養素密度が高いことから健康に良いイメージがあります。それは必要な栄養素が多く含まれているからです。たんぱく質、カルシウム、リン、ビタミンなどの摂取源として重要で、生体の利用率が高いという特徴もあります。また、ヨーグルトは乳糖不耐症の人にとって負担が少ない食品でもあります。
行動変容―イギリスの事例―
ダノンで行っている調査テーマに「行動変容」があります。行動変容がなぜ重要かというと、毎日の習慣を変えることがとても難しいことであるからです。
イギリスには“EAT LIKE A CHAMP(チャンピオンみたいに食べよう)”というプログラムがあります。これは、イギリスの栄養財団とダノンがコラボレーションしたプログラムで、イギリスで有名なダンスグループをも巻き込んで、26校を対象に行われました。6週間にわたって講座やゲームなどを通して子どもたちに栄養について学んでもらい、プログラムの6週間後、12週間後の子どもたちの食生活をプログラム前と比較しました。その結果、子どもたちの食生活が6週間後には大きく変わり、12週間経っても同じようにその行動が維持されたことが分かりました。子どもたちの食生活は、プログラム前よりも野菜、くだもの、水の摂取量が増え、菓子などの摂取量が減っていたのです。
イギリス以外にも、素晴らしい実例がたくさんあります。このような取り組みを経て、人々の行動変容が今後さらに進んでいくことを祈っています。
イギリスには“EAT LIKE A CHAMP(チャンピオンみたいに食べよう)”というプログラムがあります。これは、イギリスの栄養財団とダノンがコラボレーションしたプログラムで、イギリスで有名なダンスグループをも巻き込んで、26校を対象に行われました。6週間にわたって講座やゲームなどを通して子どもたちに栄養について学んでもらい、プログラムの6週間後、12週間後の子どもたちの食生活をプログラム前と比較しました。その結果、子どもたちの食生活が6週間後には大きく変わり、12週間経っても同じようにその行動が維持されたことが分かりました。子どもたちの食生活は、プログラム前よりも野菜、くだもの、水の摂取量が増え、菓子などの摂取量が減っていたのです。
イギリス以外にも、素晴らしい実例がたくさんあります。このような取り組みを経て、人々の行動変容が今後さらに進んでいくことを祈っています。