開会挨拶
公益財団法人ダノン健康栄養財団 理事長
東京大学 名誉教授
清水 誠
本年もダノン健康栄養フォーラムを開催する時期になりました。しかし、今年の第22 回フォーラ ムは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のために通常の形式で開催することができなくなり ました。毎年会場に来られて、ステージ上の講演や討論を聴くことを楽しみにされていた方々には大 変申し訳ありませんが、今年の講演はOn-line 方式でお聴きいただくことになります。参加者同士の 交流、休憩時のヨーグルト賞味などをお楽しみいただくことはできませんが、この半年間でOn-line 会議や講義を経験された方々も多いと思います。ご家庭や職場でくつろぎながら、講演をお聴きいた だければと思います。
本フォーラムは、「健康と栄養」に関する研究支援や様々な情報提供等を目的にフランスに本社を 置く国際的食品企業ダノングループが設立した非営利学術組織「公益財団法人ダノン健康栄養財団」 と、「公益社団法人日本栄養士会」の共催により行われています。毎年様々なテーマのもとに開催し ておりますが、健康・栄養に関わる業務に携わっておられる方、健康・栄養の問題に関心をお持ちの 方々にとって、このフォーラムは常に有意義な討論・情報収集の場となってきました。「健康・栄養」 はどんな時代、どんな場所でも人類の最重要課題であり、このフォーラムもウイルス感染症などに負 けてはいられません。今回のOn-line フォーラムでは、コロナ関係の基調講演とともに、最近注目さ れている健康・栄養問題をたんぱく質・糖質・脂質という三大栄養素の視点から取り上げた3 つの講 演をお届けすることにしました。
基調講演では、神奈川県立保健福祉大学学長の中村 丁次先生に「コロナウイルス」と「地球環境」 というミクロ(ナノ)、マクロ両方の視点からみた食事の在り方についてご講演をいただきます。次 いで、徳島大学大学院医歯薬学研究部教授の竹谷 豊先生に慢性腎臓病とたんぱく質摂取の関係につ いて臨床の立場から、また東北大学大学院農学研究科准教授の都築 毅先生に日本食の健康有益性を 支える食品組成について、糖質摂取の意味など栄養学の立場から話題を提供していただきます。さら に、自治医科大学内科学講座の石橋 俊先生には各種脂肪酸やコレステロール摂取の影響について、 主に冠動脈疾患との関連からお話しいただきます。いずれのご講演も、栄養に関わる者にとって重要 な情報が満載です。
今回のフォーラムで提供される様々な情報が、皆様の今後の活動においてお役に立てば幸いです。