メールマガジン「Nutrition News」 Vol.116
「共食の現状-食育に関する意識調査報告書より-」
 平成26年3月、内閣府食育推進室が、食育に関する意識調査報告書を公表しました。食育に関する意識調査は、食育に対する国民の意識を把握し、今後の食育推進施策の参考とするために実施されているものです。全国の20歳以上の3,000人を対象に、「食育への関心」「現在の食生活・生活習慣」「食品の選択」「食や食育に関する情報」「家族との食事」について調べられています(有効回収数:1,771人)。
 今回は、このうち「家族との食事」についての調査結果を中心に取りあげ、共食の現状について考えてみたいと思います。 

食育への関心

 食育の周知度については、『言葉を知っていた』とする人の割合が76.6%(「言葉も意味も知っていた」43.6%+「言葉は知っていたが意味は知らなかった」33.0%)でした。 また、食育への関心度については、『関心がある』とする人 (「関心がある」+「どちらかといえば関心がある」) の割合が74.6%となっています(図1)。性別で見てみると、『関心がある』とする人の割合は男性67.2%、女性81.0%で女性の方が高く、『関心がない』とする人の割合は男性31.3%、女性17.9%で男性の方が高くなっています。
 図1 食育への関心度
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食育に関する意識調査報告書をもとに作成
 

家族との食事について

 家族と一緒に食事をすることは重要だと思うかについては、『そう思う』とする人 (「とてもそう思う」+「そう思う」) の割合が95.5%でした(図2)。
 一方、家族と食事をするために自分のスケジュールを調整しようと思うかについては『そう思う』とする人(「とてもそう思う」+「そう思う」)の割合が60.6%でした(図3)。同じ質問で『そう思わない』とする人(「あまりそう思わない」+「全くそう思わない」)の割合は、全体では20.2%だったのに対し、20歳代では男性37.3%、女性32.8%と高い割合でした。
 
図2 家族との食事に対する意識
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 食育に関する意識調査報告書をもとに作成
 
 
図3 家族との食事に対する態度
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  食育に関する意識調査報告書をもとに作成
 
 家族との食事については、朝食・夕食のそれぞれにおいて「一緒に食べることについてどう思うか」「一緒に食べることがどのくらいあるか」「一緒に食べる回数を増やしたいと思うか」を調べています。その結果を表1に示しました。
  一緒に食べることについては、朝食・夕食ともに「とても大切なことなので、なるべく一緒に食事をしたい」と答えた割合が最も高くなっていますが、その傾向は朝食(65.3%)よりも夕食(73.1%)の方が強く、「忙しければ一緒に食事できなくても仕方ない」と回答した割合は、朝食(25.3%)の方が夕食(21.6%)よりも高くなっていました。家族と一緒に食べる回数については、「ほとんど毎日」と回答した割合は朝食(48.2%)よりも夕食(56.2%)の方が高く、「ほとんどない」と回答した割合は朝食(19.8%)の方が夕食(6.1%)よりも高くなっています。なお、性・年齢別に見ると、「ほとんどない」と回答した割合が最も高かったのは、朝食・夕食とも20歳代の男性でした。
 
表1 家族との食事について
vol116 hyo1食育に関する意識調査報告書をもとに作成

共食の現状についての考察

 今回の調査から、多くの人が共食を重要と認識している一方で、実際に共食を実践することについては、特に若い世代で困難な傾向にあることが伺えます。ライフスタイルが多様化し、同じ家族の中でも、生活の時間帯が異なっていることなども、その要因として考えられるでしょう。
 第二次食育推進基本計画では、「家庭における共食を通じた子どもへの食育の推進」を重点課題の1つとし、朝食又は夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数を、現状値の週平均9回(朝食+夕食)から10回以上に増加することを目標に掲げています。今回の調査結果等をもとに、共食の機会の増加につながる施策が推進されることが望まれます。また、私たち自身も、改めて共食の重要性について考え、自分のライフスタイルを振り返り、生活リズムを見直すなど家庭における共食の実践につながる工夫をしていくことが大切かもしれません。

注 結果数値(%)は表章単位を四捨五入してあるため、内訳の合計が計に一致しないことがあります。
 
 
参考

・食育に関する意識調査報告書 (内閣府)http://www8.cao.go.jp/syokuiku/more/research/h26/pdf_index.html

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